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第15章 — ユダヤ人はパウロを殺す事に決めた GCJ 56

パウロの体験談の効果を見ると祭司長たちや指導者たちは彼を憎むようになってきた。 パウロが大胆にイエスのことを教え、イエスの名前によって奇跡を起こしたりしたので多くの人はその話を聞き入れた。 祭司長たちや指導者たちは自分が作ったしきたりに人々が背を向け、さらに、「神の息子を殺した人」と見なされてきた事に気付いた。 そこで彼らは怒りに燃えて集まり、「どうやってこの大騒ぎを鎮めるのか」と話し合って、対策を検討した。 安全な道は一つしかないと思い、パウロを殺す事に決めた。 しかし神様は、彼らの計画を知っていたので、パウロが使命された事を成し遂げ、イエスの名前のため苦しみを受けるのに備えて、彼の身を守る天使たちを送った。 GCJ 56.1

「ユダヤ人があなたの命を狙っている」とパウロは知らされた。 イエスを信じなかったユダヤ人はサタンに導かれ、ダマスコ市の門を昼夜見張って、パウロが出ると直ちに殺そうとした。 しかし、弟子たちは夜にパウロをかごに入れ、壁の上からつり下ろした。 こうしてユダヤ人は自分たちの失態に恥じ入り、サタンの計画も失敗に終わった。 それからパウロはエルサレムに行 き、弟子たちの仲間入りをしようとしたが、彼らは怖がっていた。 パウロが弟子になったという事が信じられなかった。 ダマスコ市でユダヤ人に狙われた上、今度パウロは、兄弟であるはずの弟子たちに歓迎されなかった。 そこでバルナバが彼を使徒たちのところに連れて行き、パウロが道で主を見て、ダマスコ市で大胆にイエスの名前によって宣教をした事などを彼らに教えた。 GCJ 56.2

しかしサタンは、パウロを殺そうとして、ユダヤ人をかき立てた。 するとイエスはパウロに、エルサレムから離れるように命じた。 パウロがイエスの事を教えたり、奇跡を起こしたりしながら町から町へ巡ると多くの人は改宗した。 生まれながらの足の不自由な男性がいやされたので、偶像礼拝者たちが弟子たちにいけにえをささげようとした。 パウロの胸が痛み、「私たちは人間に過ぎない。 皆が天、地、海、とその中にあるすべてのもの造った神様を礼拝しなければならない」と彼らに告げた。 パウロは神様を褒めたたえようとしたが、彼らの興奮ぶりを抑えるのに苦労した。 彼らには本当の神様が受けるべき礼拝や尊敬、そして信仰の対象である知識が芽生えた。 でもパウロの話を聞いている最中、イエスを信じなかった他の町のユダヤ人はサタンに導かれ、パウロの後を追って、彼の良い働きの成果を台無しにしようとした。 そのユダヤ人たちはパウロについてデマを飛ばし、偶像礼拝者たちを扇動した。  先ほど驚嘆して、弟子たちを崇拝しようとしていた群集の気持ちは憎しみに急変した。 そこでパウロを石打にして、死んだと思ったので町の外に引きずり出した。 しかし、弟子たちがパウロの周りに立って悲しむと、なんと彼は起き上がった。 そして彼らは喜んで、パウロと一緒に町に入って行った。 GCJ 57.1

パウロがイエスの事を教えている間ずっと、占いの霊に取りつかれた女性が、「この人たちは、いと高き神のしもべたちで、あなたがたに救いの道を伝えるかただ」と叫びながら彼らの後をついて行った。 こう何日も弟子たちの後について行った。 でもパウロは、彼女がついて来て叫ぶと、人々が真理の話に集中できなくなる事に困っていた。 これによって皆をうんざりさせ、弟子たちの影響力にダメージを与えるのがサタンの狙いだった。 しかし、自分の霊が胸に沸きあがってきたパウロは、彼女に向かってその占いの霊に、「イエス・キリストの名によって命じる。 その女から出て行け」と言った。 すると悪霊は叱られ、彼女から出て行った。 GCJ 57.2

その女性の所有者たちは、彼女が弟子たちの後について行った事を喜んだ。 でも悪霊が出て、彼女がおとなしくなり、イエスの弟子になってしまったのを見ると彼らは激怒した。 今まで彼女の占いによって金がざくざく入っていたが、こうなると金もうけの見込みがなくなってしまう。 サタンの目的はくじかれたが、サタンに仕えた人たちがパウロとシラスを捕まえ、広場に居る行政官の方に引っ張って行って、「この人たちはユダヤ人でありながら、私たちの町をかき乱している」と訴えた。 広場に集まった群集がパウロとシラスを責め立て、長官たちも二人の服をはぎ取り、「むち打ちにせよ」と命じた。 それで何度もむちで打ってから二人を牢獄に入れ、「しっかり番をするよう」と命じられた看守が、彼らを奥の獄室に押し込んで、足かせをしっかりかけておいた。 しかし、神様の天使たちもその二人と一緒に獄の中に入った。 その投獄で神様は栄光を受け、選んだ者と共にいて働いている事、そして神様の力にかかれば、獄の壁は揺れ、頑丈な鉄格子も簡単に開いてしまう事を、人々に示した。 GCJ 58.1

真夜中ごろ、パウロとシラスが神様に祈り、賛美の歌を歌っている時に、突然大地震は起こり、獄の土台が揺れ動いた。 神様の天使がたちまち皆の鎖を解いたのを私は見た。 目を覚ました看守は、獄の戸が開いてしまったのを見て、怖くなった。 囚人たちが逃げ、自分は罰として処刑されてしまうだろうと思った。 彼が自殺しようとした時にパウロが大声で、「自害してはいけない。 私たちは皆ここにいる」と叫んだ。 神様の力が看守を悟らせた。 彼は灯かりを頼んで、獄に飛び込んで、ぶるぶる震えながらパウロとシラスの前にひれ伏した。 そこで二人を外に連れ出して、「先生がた。 救われるためには、何をしなければなりませんか」と尋ねた。 そして二人が、「主イエスを信じなさい。 そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」と答えた。 そう言われた看守が家族の者を皆集めたので、パウロはイエスについて話をした。 看守の心がその兄弟たちと一つになり、彼らの打ち傷を洗ってからその夜に自分と家族の者は皆バプテスマを受けた。 それから食事をもてなし、「全家族をそろって神を信じたことを心から喜んだ」。 GCJ 58.2

「牢獄のドアが開かれた事と、看守とその家族が皆改宗して、バプテスマを 受けた事によって神様の栄光ある力が現れた」という素晴らしいニュースが広まった。 指導者たちもそれを聞いて怖くなり、看守のところに使いを送って、パウロとシラスを解放するように頼んだ。 しかしパウロはひそかに獄から離れようとしなかった。 パウロは、「彼らは、ローマ人である私たちを、取り調べもせずに公衆の前でむち打ち、獄に入れてしまった。 それなのに今になって、ひそかに私たちを送り出そうとするのか。 とんでもない。 彼ら自身がここに来て、私たちを連れ出すべきである」と言った。 パウロとシラスは、神様の力で起こった事が隠されるのを許さなかった。 使いたちが指導者たちにパウロとシラスの言ったことを報告すると、二人ともローマ人であるのを聞いて、ますます怖くなってきた。 それで指導者たちはパウロとシラスのところに行き、二人を獄から連れ出し、「この町から立ち去ってくれるよう」と懇願した。 GCJ 58.3

使徒行伝14、16章を参照