聖書に示されている聖天使たちの奉仕は、キリストに従うすべての者にとって、最も大きな慰めとなる貴重な真理である。しかし、この点に関する聖書の教えは、一般の神学の誤りによって不明瞭にされ、曲解されてきた。最初は異教の哲学からの借り物で、大背教の暗黒の間にキリスト教の信仰の中に混入した霊魂不滅の教えが、聖書にはっきり教えられている「死者は何事をも知らない」という真理に、取って代わった。「仕える霊であって、救いを受け継ぐべき人々に奉仕するため、つかわされた」のは、死んだ者の霊であると、多くの人々は信じるようになった。しかも、人間界に死が入る前から天使たちは存在し、人間の歴史と関係があったという聖書のあかしがあるにもかかわらず、人々はそう信じているのである。 GCJap 638.1
死んでも人には意識があるという教え、特に、死んだ者の霊が生きている者に仕えるために戻ってくるという信仰は、近代心霊術(降神術)への道を備えた。もし死んだ者が、神と聖天使たちとの前に出ることを許され、また彼らが前に持っていたものよりはるかに優れた知識を持つ特権が与えられるなら、彼らは生きている者を啓発し教えるために、地上に帰ってこないはずがないのではないか。一般の神学者たちが教えるように、もし死んだ者の霊が地上の友人たちのまわりをさまよっているなら、彼らはその友人たちと連絡を取り、悪事を戒め、あるいは悲しみを慰めないはずがないのではないか。死んでも人には意識があると信ずる者は、栄化した霊によって伝えられる天来の光として彼らに与えられるものを、どうして拒むことができようか。ここに、神聖なものとみなされている経路(チャンネル)があって、サタンはこの経路を通じて目的を達成するために働いているのである。 GCJap 638.2
サタンの命令を行う堕落天使たちが、霊界からの使者としてあらわれる。生きている者が死んだ者と連絡できるようにすると公言しながら、悪の君は、生きている者の精神にその魅惑的な感化力を働かすのである。 GCJap 639.1
サタンは人々の前に、彼らの死んだ友人たちの姿をあらわす力を持っている。その偽者は完全である。見なれた表情や言葉や声の調子などが、信じられないほどの正確さをもって再現される。多くの者は、自分たちの愛する者が天の無上の幸福を味わっていると信じて慰められる。そして危険を少しも感じないで、「惑わす霊と悪霊の教え」に耳を傾けるのである。 GCJap 639.2