ローマ教会の抜け目なさと狡猾さには驚くべきものがある。この教会は、何が起こるかを読みとることができる。法王教は、プロテスタント教会が偽りの安息日を承認して忠順をあらわしていることや、過去に法王教自身が用いたのと同じ手段で、プロテスタント教会がそれを強制する準備をしていることを見て、時機を待っている。真理の光を拒む者たちが、ローマ教会が起こした一つの制度をあがめるために、この無謬を自称する権力の助けを求める時が来るであろう。ローマ教会がこの働きにおいて、すぐプロテスタント教会に助けの手を差しのべるであろうことは、想像にかたくない。教会に服従しない者をどう取り扱うべきかを、法王教の指導者たち以上によく知っている者はいないであろう。 GCJap 671.3
ローマ・カトリック教会は全世界にわたって根を張り、法王庁の支配下にあってその利害に役立つよう計画されている一大組織を形成している。全世界のあらゆる国において、聖餐にあずかる幾千万の者たちは、法王に対する忠誠を堅く保つように教えられている。国籍や政府がどうであろうと、彼らは教会の権威をほかのいっさいのものの上にあるものとみなさなければならない。彼らは国家に忠誠を誓うかもしれないが、その背後には、ローマに対する服従の誓約があって、教会の利益に反する場合には、国家に対するどんな誓いも破ってもよいことになっている。 GCJap 672.1
歴史は、教会がたくみに根気よく国事に入り込む努力を続け、一度足場を得てしまうと、王侯や人民を破滅させてでも教会自身の目的を進めることを証明している。一二〇四年に、法王インノセント三世は、アラゴン王ペドロ二世にむりやり次のような異常な誓約を強制した。「わたくしアラゴン王ペドロは、わが主なる法王インノセント及びその正統なる後継者並びにローマ教会に対して、絶えず忠実かつ従順であること、また、カトリックの信仰を擁護し、異端に堕落した者を迫害して、法王に対するわが国の服従を保つことを、ここに明言し、約束する」。このことは、「法王が皇帝を廃することは合法である」、「法王は不正な統治者の臣下には、その王に対する忠誠を免ずることができる」という法王権に関する主張と一致している。 GCJap 672.2