第60章 栄光にみちた国が来る
- 序
- 第1章 ソロモン王の選択
- 第2章 エルサレム神殿の建設
- 第3章 繁栄の落とし穴
- 第4章 権力者が倒れるとき
- 第5章 ソロモン王の改心
- 第6章 王国の分裂
- 第7章 悲劇の王ヤラベアム
- 第8章 急速にひろがった背信
- 第9章 預言者エリヤの出現
- 第10章 罪を責める声
- 第11章 カルメル山の対決
- 第12章 砂漠へ逃れる預言者
- 第13章 失敗から立ちあがる
- 第14章 預言者エリヤの力
- 第15章 妥協するヨシャパテ王
- 第16章 アハブ家の没落
- 第17章 預言者エリシャの召し
- 第18章 悪水を良水にかえる
- 第19章 平和をつくり出す人
- 第20章 大国シリヤからの訪問者
- 第21章 預言者工リシャの貢献
- 第22章 アッスリヤの首都ニネベ
- 第23章 大国アッスリヤの支配
- 第24章 破滅を定めるもの
- 第25章 預言者イザヤの召し
- 第26章 「あなたがたの神を見よ」
- 第27章 大国に援助を求めたアハズ王
- 第28章 熱心な改革者ヒゼキヤ王
- 第29章 虚栄のつけ
- 第30章 大国アッスリヤからの解放
- 第31章 諸国民の希望
- 第32章 暗黒時代をもたらしたマナセ王と改革の星ヨシヤ王
- 第33章 律法の書の発見
- 第34章 立ちあがった預言者エレミヤ
- 第35章 破滅が近い
- 第36章 ユダ王国の最後の王
- 第37章 バビロン捕囚
- 第38章 暗黒を貫く光
- 第39章 バビロン王宮の4青年
- 第40章 ネブカデネザル王の夢
- 第41章 火の燃える炉からの救い
- 第42章 真の偉大さとは何か
- 第43章 目に見えない守護者
- 第44章主義に固く立つ
- 第45章 バビロン捕囚から帰る
- 第46章敵対者に直面して
- 第47章大祭司ヨシュアと天使
- 第48章 権力をこえる力
- 第49章 王妃エステルの決心
- 第50章 学者エズラに導かれた改革
- 第51章 精神の大覚醒
- 第52章 総督ネヘミヤの活躍
- 第53章 市街の建てなおし
- 第54章 搾取に対する譴責
- 第55章 隣国の陰謀
- 第56章 律法の公布
- 第57章 改革が始まる
- 第58章 救い主を待望する人々
- 第59章 理想のイスラエル
- 第60章 栄光にみちた国が来る
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第60章 栄光にみちた国が来る
神の教会は、悪との戦いにおける最も暗黒な時代に、主の永遠の計画に関する啓示が与えられた。神の民は現在の試練のかなたに将来の勝利を見ることが許された。その時になれば、戦いは終わり、贖われた者は約束の国を領有するのである。将来の栄光に関するこれらの幻、すなわち神の手が描いた光景は、各時代の争闘が急速に終わりを告げ、約束の祝福があふるるばかりに与えられようとしている今日、神の教会にとって貴重なものでなければならない。PK 653.4
いにしえの預言者によって、教会に与えられた慰めの言葉は実に多かった。イザヤは、「慰めよ、わが民を慰めよ」と語るように、神の命令を受けた(イザヤ40:1)。そしてこの任命と共に、その後の各世紀を通じて信者の希望と喜びとなった驚くべき幻が与えられた。各時代の神の民は、人々から軽べつされ、迫害され、見捨てられたけれども、主の確かな約束によってささえられてきた。彼らは信仰によって、「わたしはあなたを、とこしえの誇、世々の喜びとする」という主の教会に対する確証を主が成就される時を待望したのである(同60:15)。PK 653.5
戦う教会はしばしば、試練と苦難に会うように召された。なぜならば、教会は激しい戦いを経ないでは勝利することができないからである。すべての者は、「悩みのパンと苦しみの水」を与えられなければならない(同30:20)。しかし、救いをほどこす力をお持ちであるかたに信頼する者は、誰1人として全く打ちひしがれることはない。「ヤコブよ、あなたを創造された主はこう言われる。イスラエルよ、あなたを造られた主はいまこう言われる、『恐れるな、わたしはあなたをあがなった。わたしはあなたの名を呼んだ、あなたはわたしのものだ。あなたが水の中を過ぎるとき、わたしはあなたと共におる。川の中を過ぎるとき、水はあなたの上にあふれることがない。あなたが火の中を行くとき、焼かれることもなく、炎もあなたに燃えつくことがない。PK 653.6
わたしはあなたの神、主である、イスラエルの聖者、あなたの救主である。わたしはエジプトを与えてあなたのあがないしろとし、エチオピヤとセバとをあなたの代りとする。あなたはわが目に尊く、重んぜられるもの、わたしはあなたを愛するがゆえに、あなたの代りに人を与え、あなたの命の代りに民を与える』」(同43:1~4)。PK 653.7
神はゆるしをお与えになる。十字架につけられ、よみがえられたわれわれの主イエスの功績によって、満ちあふれるばかりの嘉納が与えられる。イザヤは、主が彼の選民に宣言されるのを聞いた。「わたしこそ、わたし自身のためにあなたのとがを消す者である。わたしは、あなたの罪を心にとめない。あなたは、自分の正しいことを証明するために自分のことを述べて、わたしに思い出させよ。われわれは共に論じよう。」 「主なるわたしが、あなたの救主、また、あなたのあがない主、ヤコブの全能者であることを知るにいたる」(同43:25、26、60:16)。PK 653.8
預言者は、「その民のはずかしめを全地の上から除かれる」と宣言した。「彼らは『聖なる民、主にあがなわれた者』ととなえられ」る。主は「灰にかえて冠を与え、悲しみにかえて喜びの油を与え、憂いの心にかえて、さんびの衣を与えさせるためである。こうしで彼らは義のかしの木ととなえられ、主がその栄光をあらわすために植えられた者ととなえられる」(イザヤ25:8、62:12、61:3)。PK 654.1
もはやあなたのところに、はいることがないからだ。PK 654.6
見よ、わたしはアンチモニーであなたの石をすえ、PK 654.14
それはあなたに近づくことがないからである。PK 654.24
すべてあなたと争う者は、あなたのゆえに倒れる。PK 654.27
すべてあなたを攻めるために造られる武器は、PK 654.28
すべてあなたに逆らい立って、争い訴える舌は、PK 654.30
教会はキリストの義の武具をまとって、最後の争闘を始めなければならない。「月のように美しく、太陽のように輝き、恐るべき事、旗を立てた軍勢のよう」に、教会は全世界に出て行って、勝利に勝利を収めなければならない(雅歌6:10)。PK 654.36
教会と悪の勢力との闘いの最も暗黒な時は、教会が最後に救出される日の直前である。しかし、神に信頼する者は誰1人として恐れる必要はない。「あらぶる者の及ぼす害は、石がきを打つあらしのごとく」であっても、神は、神の教会にとって、「あらしをさける避け所とな」られる(イザヤ25:4)。PK 654.37
その日、義人だけに救いの約束が与えられている。「シオンの罪びとは恐れに満たされ、おののきは神を恐れない者を捕らえた。『われわれのうち、だれが焼きつくす火の中におることができよう、われわれのうち、だれがとこしえの燃える火の中におることができよう』。正しく歩む者、正直に語る者、しえたげて得た利をいやしめる者、手を振って、まいないを取らない者、耳をふさいで血を流す謀略を聞かない者、目を閉じて悪を見ない者、このような人は高い所に住み、堅い岩はそのとりでとなり、そのパンは与えられ、その水は絶えることがない」(同33:14~16)。PK 654.38
主は、彼の忠実な人々に次のように言われる。「さあ、わが民よ、あなたのへやにはいり、あなたのうしろの戸を閉じて、憤りの過ぎ去るまで、しばらく隠れよ。見よ、主はそのおられる所を出て、地に住む者の不義を罰せられる」(同26:20、21)。PK 654.39
主の使者たちは霊感によって、大いなる審判の日 の幻を与えられ、心安らかに主を迎える準備をしなかった人々の驚く光景を示された。PK 654.40
「見よ、主はこの地をむなしくし、これを荒れすたれさせ、これをくつがえして、その民を散らされる。……これは彼らが律法にそむき、定めを犯し、とこしえの契約を破ったからだ。それゆえ、のろいは地をのみつくし、そこに住む者はその罪に苦しみ、……鼓の音は静まり、喜ぶ者の騒ぎはやみ、琴の音もまた静まった」(同24:1~8)。PK 655.1
「ああ、その日はわざわいだ。主の日は近く、全能者からの滅びのように来るからである。……種は土の下に朽ち、倉は荒れ、穀物がつきたので、穀倉はこわされる。いかに家畜はうめき鳴くか。牛の群れはさまよう。彼らには牧草がないからだ。羊の群れも滅びうせる。」PK 655.2
「ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれ、ざくろ、やし、りんご、野のすべての木はしぼんだ。それゆえ楽しみは人の子らからかれうせた」(ヨエル1:15~18、12)。PK 655.3
エレミヤは、地上の歴史の終末における荒廃を眺めて叫んだ。「ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ……わたしは沈黙を守ることができない、ラッパの声と、戦いの叫びを聞くからである。破壊に次ぐ破壊があり、全地は荒され」た(エレミヤ4:19、20)。PK 655.4
イザヤは神の報復の日について次のように言っている。「その日には高ぶる者はかがめられ、おごる人は低くせられ、主のみ高くあげられる。こうして偶像はことごとく滅びうせる。……その日、人々は拝むた魔みずから造ったしろがねの偶像と、こがねの偶像とを、もぐらもちと、こうもりに投げ与え、岩のほら穴や、がけの裂け目にはいり、主が立って地を脅かされるとき、主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避ける」(イザヤ2:17~21)。PK 655.5
人々の誇りが低められる転換期について、エレミヤは次のようにあかししている。「わたしは地を見たが、それは形がなく、またむなしかった。天をあおいだが、そこには光がなかった。わたしは山を見たが、櫨震え、もろもろの丘は動いていた。わたしは見たが、人はひとりもおらず、空の鳥はみな飛び去っていた。わたしは見たが、豊かな地は荒れ地となり、そのすべての町は、主の前に、その激しい怒りの前に、破壊されていた。」「悲しいかな、その日は大いなる日であって、それに比べるべき日はない。それはヤコブの悩みの時である。しかし彼はそれから救い出される」(エレミヤ4:23~26、30:7)。PK 655.6
神の敵にとっての怒りの日は、神の教会にとっては最後の救いの日である。預言者は言っている。PK 655.7
「主はとこしえに死を滅ぼし、主なる神はすべての顔から涙をぬぐい、その民のはずかしめを全地の上から除かれる。これは主の語られたことである」(同25:8)。そして、主が、すべての聖天使たちを率いて、地のすべての国々の中から残りの教会を集めるために、栄光の中に降って来られるのを預言者が見ていると、待望していた人々は声をそろえて、喜びの叫びをあげるのであった。PK 655.16
「見よ、これはわれわれの神である。わたしたちは彼を待ち望んだ。彼はわたしたちを救われる。これは主である。わたしたちは彼を待ち望んだ。わたしたちはその救を喜び楽しもう」(同25:9)。PK 655.17
眠っている聖徒たちを呼ばれる神のみ子の声が聞こえる。そして預言者は、彼らが死の牢獄から出てくるのを見て叫ぶ。「あなたの死者は生き、彼らのなきがらは起きる。ちりに伏す者よ、さめて喜びうたえ。あなたの露は光の露であって、地は亡き霊をいだす」(同26:19・文語訳参照)。PK 655.18
その時、足の不自由な人は、しかのように飛び走り、PK 656.3
預言者は、罪と墓に勝利した人々が今、幸福そうに創造主のみ前にあって、人間が最初に神と語ったのと同じように親しく神と話し合っているのを幻の中で見た。主は、彼らにお命じになる。「しかし、あなたがたはわたしの創造するものにより、とこしえに楽しみ、喜びを得よ。見よ、わたしはエルサレムを造って喜びとし、その民を楽しみとする。わたしはエルサレムを喜び、わが民を楽しむ。PK 656.6
泣く声と叫ぶ声は再びその中に聞えることはない。」「そこに住む者のうちには、『わたしは病気だ』と言う者はなく、そこに住む民はその罪がゆるされる」(イザヤ65:18、19、33:24)PK 656.7
ミルトスの木は、おどろに代って生える……。」PK 656.13
汚れた者はこれを通り過ぎることはできない、PK 656.16
「ねんごろにエルサレムに語り、これに呼ばわれ、PK 656.18
(同35:6、7、55:13、35:8、40:2)PK 656.23
贖われた人々が、罪とのろいのあらゆる傷あとから解放されて、神の都に住んでいるのを見た預言者は、喜びにわれを忘れて叫ぶのである。「すべてエルサレムを愛する者よ、彼女と共に喜べ、彼女のゆえに楽しめ」(同66:10)。PK 656.24
荒廃と滅亡は、もはやあなたの境のうちに聞かれず、PK 656.26
預言者は、その場所の音楽と歌を聞いた。それは、神の幻の中でなければ、どんな人間の耳も聞くことができずまた、どんな人間の心も想像することができないような音楽であり、歌であった。「主にあがなわれた者は帰ってきて、その頭に、とこしえの喜びをいただき、歌うたいつつ、シオンに来る。彼らは楽しみと喜びとを得、悲しみと嘆きとは逃げ去る。」「その中に喜びと楽しみとがあり、感謝と歌の声とがある。」「歌う者と踊る者」がいる。「彼らは声をあげて喜び歌う。主の威光のゆえに、西から喜び呼ばわる」(同35:10、51:3、詩篇87:7、イザヤ24:14)。PK 656.42
贖われた人々は、新しい地において、最初アダムとエバに幸福をもたらした仕事と楽しみに従事する。彼らはエデンの生活をする。それは楽園と畑の生活 である。「彼らは家を建てて、それに住み、ぶどう畑を作って、その実を食べる。彼らが建てる所に、ほかの人は住まず、彼らが植えるものは、ほかの人が食べない。わが民の命は、木の命のようになり、わが選んだ者は、その手のわざをながく楽しむからである」(イザヤ65:21、22)。PK 656.43
そこではあらゆる能力が発達し、あらゆる才能が増し加わる。どんな大事業も遂行され、どんなに高遠な抱負も達成され、どんなに遠大な目的も実現される。それでもなお、さらに越えるべき新しい高さ、感嘆すべき新しい驚異、理解しなければならない新しい真理、知・徳・体の能力を要する新しい目的が現れる。PK 657.1
こうした偉大な光景が示された預言者たちは、その意味を十分に理解したいと願った。「預言者たちも、たずね求め、かつ、つぶさに調べた。彼らは、自分たちのうちにいますキリストの霊が、……いつの時、どんな場合をさしたのかを、調べたのである。そして……自分たちのためではなくて、あなたがたのための奉仕であることを示された。それらの事は、……今や、あなたがたに告げ知らされたのである」(Ⅰペテロ1:10~12)。PK 657.2
まさにその成就の瀬戸際に立っているわれわれにとって、来たるべきこれらの諸事件の描写はなんと意義深く、また生々しい関心事でなければならないことであろう。これは、われわれの祖先がエデンを去って以来、神の子供たちが待望し、祈ってきたできごとなのである。PK 657.3
旅行く友よ、われわれはまだ地上の活動の影と混乱のさ中にいる。しかし、間もなく救い主は現れて、救と休息をお与えになるのである。われわれは信仰をもって、神のみ手によって描かれた幸福な将来を眺めよう。世の罪のためになくなられた方は、彼を信じるすべての者に、パラダイスの門を広く開けておられるのである。やがて戦いは終わり、勝利を収める。やがてわれわれは永遠の生命の希望の中心であられる方にお目にかかる。そして、彼のみ前において、この世の試練と苦難は無に等しく思われる。「さきの事はおぼえられること」がない。「だから、あなたがたは自分の持っている確信を放棄してはいけない。その確信には大きな報いが伴っているのである。神の御旨を行って約束のものを受けるため、あなたがたに必要なのは、忍耐である。『もうしばらくすれば、きたるべきかたがお見えになる。遅くなることはない』。」「しかし、イスラエルは……救われて、とこしえの救を得る。あなたがたは世々かぎりなく、恥を負わず、はずかしめを受けない」(イザヤ65:17、ヘブル10:35~37、イザヤ45:17)。PK 657.4
見上げよ、見上げよ、絶えず信仰を増し加えよ。この信仰に導かれて、都の門を通って大いなる将来へと続く狭い道を行こう。それは贖われた者のために備えられた広く限りない輝かしい将来である。「だから、兄弟たちよ。主の来臨の時まで耐え忍びなさい。見よ、農夫は、地の尊い実りを、前の雨と後の雨とがあるまで、耐え忍んで待っている。あなたがたも、主の来臨が近づいているから、耐え忍びなさい。心を強くしていなさい」(ヤコブ5:7、8)。PK 657.5
救われた諸国の人々は、天の律法のほかはどんな律法をも認めない。すべての者は賛美と感謝の衣服を着て、幸福な一致した家族となる。その光景に「明けの星は相共に歌い、神の子たちはみな喜び呼ばわ」る(ヨブ38:7)。そして神とキリストとは、声を合わせて、「もはや罪もなく、もはや死もない」と宣言される。PK 657.6
「『新月ごとに、安息日ごとに、すべての人はわが前に来て礼拝する』と主は言われる。」「こうして主の栄光があらわれ、人は皆ともにこれを見る。」「主なる神は義と誉とを、もろもろの国の前に、生やされる。」「その日、万軍の主はその民の残った者のために、栄えの冠となり、麗しい冠となられる」(イザヤ66:23、40:5、61:11、28:5)PK 657.7
「主はシオンを慰め、またそのすべて荒れた所を慰めて、その荒野をエデンのように、そのさばくを主の国のようにされる。」「これにレバノンの栄えが与えられ、カルメルおよびシャロンの麗しさが与えられる。」「あなたはもはや『捨てられた者』と言われず、あ なたの地はもはや『荒れた者』と言われずあなたは『わが喜びは彼女にある』ととなえられ、あなたの地は『配偶ある者』ととなえられる。……花婿が花嫁を喜ぶようにあなたの神はあなたを喜ばれる」(同51:3、35:2、62:4、5)。PK 657.8