第46章 自由の身になって
- 第1章 人類救済への神の計画
- 第2章 12弟子の訓練
- 第3章 大いなる任命
- 第4章 聖なる霊下る
- 第5章 聖霊の働き
- 第6章 美しの門での奇跡
- 第7章 偽善が招いた死
- 第8章 ユダヤ議会での証言
- 第9章 組織と指導者
- 第10章 ステパノの弁明
- 第11章 へだての壁を越えて
- 第12章 迫害者から弟子へ
- 第13章 砂漠での内省の日々
- 第14章 神は人をかたより見ない
- 第15章 牢獄から救われたペテロ
- 第16章 彼らは“クリスチャン”と呼ばれた
- 第17章 パウロの第一次伝道旅行
- 第18章 豹変した群衆
- 第19章 エルサレム会議
- 第20章 パウロの第二次伝道旅行
- 第21章 エーゲ海を渡る
- 第22章 テサロニケでの働き
- 第23章 文化の中心アテネにて
- 第24章 退廃の都コリントにて
- 第25章 テサロニケ教会への手紙
- 第26章 植える者と水をそそぐ者
- 第27章 エペソでのめざましい働き
- 第28章 銀細工人たちの騒動
- 第29章 共に悩み、共に喜ぶ
- 第30章 競走に勝ち抜くために
- 第31章 患難と栄光
- 第32章 豊かにまく者は豊かに刈り取る
- 第33章 労働の祝福
- 第34章 使命を持つ者の働き
- 第35章 ユダヤ人への福音
- 第36章 福音から離れた人々
- 第37章 パウロの最後のエルサレム旅行
- 第38章 投獄されたパウロ
- 第39章 カイザリヤにおける裁判
- 第40章 パウロ、カイザルに上訴する
- 第41章 アグリッパ王大いに感銘す
- 第42章 航海と難破
- 第43章 ローマにて
- 第44章 ネロの宮廷
- 第45章 ローマからの手紙
- 第46章 自由の身になって
- 第47章 最後の逮捕
- 第48章 皇帝ネロの前に立つパウロ
- 第49章 パウロの最後の手紙
- 第50章 義の冠が待つ
- 第51章 忠実な羊飼い
- 第52章 最後まで忠実に
- 第53章 愛された弟子
- 第54章 忠実な証人
- 第55章 恵みによって変えられた人
- 第56章 パトモス島に流される
- 第57章 ヨハネ、黙示録を書く
- 第58章 真理は勝利する
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第46章 自由の身になって
ローマにおけるパウロの働きは祝福されて、多くの魂を改心に導き、信者たちを力づけ、励ましたが、その反面、暗雲が次第につのり、パウロの安全ばかりでなく、教会の繁栄をもおびやかすようになった。ローマに着いたときから、パウロは近衛兵の隊長の監督下におかれていた。公正で、高潔な人で、この人の寛容さのおかげでパウロは比較的自由に、福音の働きを続けさせてもらったのである。しかし、2年間の囚われの期間が終わる前に、この隊長は別の役人と交代させられて、使徒はその役人には特別な好意を期待できなかった。AA 1541.2
ユダヤ人たちは今や、これまでより一層活発にパウロ反対の運動を続け、ネロが第二の妻にした放とうな女を有力な後援者にすることができた。この女はユダヤ教の改宗者だったので、キリスト教の戦士の殺害計画を手助けするのに、彼女のすべての影響力を貸した。AA 1541.3
パウロはカイザル〔皇帝〕に上訴していたが、カイザルの公正を望むことはほとんどできなかった。ネロは前任者の誰よりも不品行で、性質が浅薄で、同時に狂暴な残忍性があった。これ以上専制的な統治者に政権をゆだねようとしてもできなかったであろう。彼の統治の第1年には、正当な帝位継承者である腹違いの弟の毒殺という汚点がつけられた。ネロは、悪徳と罪悪の1つの深みから次の深みへと墮落をつづけ、ついには自分の母親を、ついで自分の妻を殺してしまった。彼はあますところなく非道を行い、悪徳行為に身を落とした。彼は高潔な人々の心に、嫌悪と軽べつ心を起こさせるだけであった。AA 1541.4
ネロの宮廷で行われた不正の数々は、あまりにも下劣な、また、あまりにも恐ろしいもので、到底、言葉には言い表せないほどである。彼の破廉恥な邪悪さは、無理やり罪の共犯者にさせられた多くの人々にも、いや気を起こさせ、胸を悪くさせた。彼が次にはどんな極悪非道を持ち出すかと、彼らは絶えず戦々恐々としていた。ネロのこのような犯罪にもかかわらず、臣下の忠誠はゆるぎなかった。ネロは文明世界全体の絶対的な統治者として認められていた。そればかりか、彼は神の栄誉を受ける者とされ、神としてあがめられた。AA 1541.5
人間的な判断からすれば、パウロがこのような裁判官から有罪を宣告されることは確実だった。しかし使徒は、自分が神に忠誠をつくしているかぎり、恐れるものは何もないと思った。過去においてパウロを保護してくださった方は、今もなお、ユダヤ人の悪意と皇帝の権力から彼を守ることがおできになった。AA 1541.6
実際、神は、ご自分のしもべを守られた。パウロの審問にあたって、彼に対する告訴は支持されなかった。そして一般の予期に反して、ネロは自分の性格とは全くかけ離れた正義を尊重し、囚人に無罪を宣告した。パウロのなわめは解かれ、彼は再び自由の身となった。AA 1541.7
もし彼の裁判がもうしばらく延期されるか、またはなんらかの理由で翌年までローマに引き止められていたなら、彼は多分その時起きた迫害によって殺されていたであろう。パウロが捕らわれている間に、キリスト教への改宗者が非常に多くなったので、官憲の注意をひき、また敵意をひき起こした。特に宮中から改宗者が出たために、皇帝の怒りにふれ、皇帝はすぐさま、キリスト教徒を彼の無情な残虐行為の対象とする口実を見つけた。AA 1541.8
ちょうどこのころ、ローマに大火が起こり、市のほと んど半分が焼けた。この大火はネロ自身が火をつけたのだといううわさが流れたが、彼はこの嫌疑を避けるために、家のない者や困っている者たちを助けることによって、非常な寛大さをよそおった。しかし彼は、その罪を犯したとして非難された。人々が興奮し、怒ったので、ネロは身の疑いを晴らすために、また、自分が恐れ憎んでいる階級を町から一掃するために、この非難をキリスト教徒に向けた。彼のたくらみは成功し、キリストに従う幾千の男、女、子供たちが、残酷にも殺された。AA 1541.9
パウロはこの恐ろしい迫害から助かった。彼は、釈放されるとすぐローマを去っていたからである。この最後の自由の期間を、彼は勤勉に利用して、諸教会のために働いた。彼は、ギリシヤ人の教会と東方の諸教会とを一層しっかり結びつけようと努め、また、信仰を堕落させようとしのび寄ってくる誤った教理に対して、信者たちの心を強めることに努めた。AA 1542.1
パウロは試練と不安を耐え抜いたが、そのために体力が次第にそこなわれていた。年令から来る種々の疾患がふりかかってきた。彼は今、自分が最後の仕事をしているということを感じた。そして、働く時間が短くなるにつれて、彼の努力はますます熱心なものとなった。彼の熱意には限界がないように見えた。断固たる目的を持ち、敏速に行動し、強い信仰を抱いて、彼は多くの土地を教会から教会へと旅し、信者たちが忠実に働いて魂をイエスに導くように、また、既にその時でさえ彼らが体験しはじめていた試みの時に、彼らがキリストのために忠実なあかしを立てて、福音に固くとどまることができるように、力のかぎりあらゆる手段をつくして、信徒たちの手を強めることに努力した。AA 1542.2