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各時代の大争闘 - Contents
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    ベルカンの殉教

    王は、両方の対立した弁士たちの力と鋭さとを比較することをきらわず、また、これら高慢な修道士たちの自尊心をくじくよい機会と考えて、ローマ側に、聖書に基づいて、彼らの主張を擁護することを命じた。彼らは、この武器では、自分たちの方が不利であることをよく知っていた。投獄や拷問や火刑のほうが、彼らの使い慣れた武器だったのである。今や形勢は逆転し、彼らはベルカンを陥れようと望んだ穴に、自分たちが落ちこもうとしているのに気づいた。彼らは驚いて、どこかに逃げ道はないかと見回した。GC 1696.5

    「ちょうどその時、町角に立てられていた聖母マリヤの像が、傷つけられた。」それで町中が大騒ぎになった。群衆がその場所に集まって、悲しみや怒りの言葉をあげた。王も、非常に心を動かされた。これは修道士たちを有利にするよい機会であった。彼らは、さっそくそれを利用した。「こうしたことは、ペルカンの教義の実である」と、彼らは叫んだ。「このルター派の陰謀によって、宗教も法律も王位までも、みなくつがえされそうになっている。」10GC 1696.6

    ベルカンは、ふたたび捕らえられた。王は、バリを去った。そこで修道士たちは思うままに活動することができた。改革者ベルカンは、裁判によって死刑の宣告を受けた。そして、フランソアが介入して彼 を救わないようにと、宣告が行われたその当日に刑が執行された。ベルカンは、正午に刑場に送られた。黒山のような群衆が、これを見るために集まった。そして、受刑者がフランスの最高にして最も勇敢な貴族のなかから選ばれたことに、驚きと疑念をいだいたものが多くあった。GC 1696.7

    押し寄せた郡衆の顔には、驚き、怒り、軽べつ、憎しみが現れていた。しかし、暗い影のない顔が1つあった。殉教者の思いは、騒がしい光景から遠く離れ、主の臨在だけを感じていた。GC 1697.1

    彼を乗せたそまつな護送車、迫害者たちの不きけんな顔、彼が向かいつつある恐るべき死——彼はこれらをなんとも思わなかった。生きて、死なれたことがあり、そして永遠に生きておられるお方、死と黄泉(よみ)のカギをもっておられるお方が、彼のそばにおられた。ベルカンの顔は、天の光と平和に輝いていた。ベルカンはりっぱな服装をしていた。彼は、「びろうどの上衣、しゅすとダマスク織りの胴着、金色のくつ下」をまとっていた。11彼は、王三の王と、見守る宇宙との前で、信仰のあかしをしようとしていた。彼の喜びを隠すような悲しみの表情はなかった。GC 1697.2

    行列が混雑した通りをゆっくりと進んでいく時、人々は、彼の顔つきと態度に、少しの曇りもない平和と勝利の喜びとを見て驚いた。「この人は、神殿に座して、聖なることについて瞑想する人のようだ」と彼らは言った。12GC 1697.3

    火刑台のところで、ベルカンは、人々に少し語ろうとした。しかし、修道士たちは、その結果を恐れて叫び声をあげはじめ、また、兵士たちは、武器を打ち合わせて、彼らの騒がしい音によって殉教者の声を消してしまった。こうして、1529年、教養の都パリの文学と神学の最高の権威者たちは、「処刑台における死に面した人の最後の言葉をもみ消すという卑劣な手本を、1793年の民衆に与えた。」13GC 1697.4

    ベルカンは絞殺され、彼の体は火で焼かれた。彼の死の知らせは、フランス全国の改革派の同志を悲しませた。しかし、彼の死は、むだではなかった。「われわれもまた、来たるべき生命に目を向け、喜んで死につくつもりである」と真理の証人たちは言った。14GC 1697.5

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