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各時代の大争闘 - Contents
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    フスの殉教

    さて、いよいよ最後に、フスは会議に呼び出された。それは、皇帝、諸侯、使臣、枢機卿、司教、司祭たちが列席しているはなやかな大会議であった。また、その成り行きを見ようとする大群衆が集まっていた。良心の自由を確保するための長い闘争における、この最初の偉大な犠牲の目撃者たちが、キリスト教国全土から集められていたのである。GC 1640.3

    フスは最後の決断を促されたが、取り消すことを拒否した。彼は、恥知らずにも約束を破棄した王を、するどい目でみつめて言った。「わたしは、ここにご臨席の皇帝の公の保護と信義のもとに、自分の自由意志で、この会議に出席することを決心したものである。」11ジギスムントは、会衆全員の視線を浴びて、顔を赤くした。GC 1640.4

    宣告は下され、聖職剥奪の儀式が開始された。司教たちはフスに僧服を着せた。フスは司祭の服を着た時、「われわれの主、イエス・キリストは、ヘロデからピラトのところへ送られる時、辱しめのために白い衣を着せられた」と言った。12彼はふたたび取り消すことを勧められたが、人々の方を向いて、こう答えた。「そういうことをすれば、わたしはどんな顔をして、天を仰ぐことができようか。わたしが純粋な福音を宣べ伝えたたくさんの人々に、どのようにして顔をあわせることができようか。わたしは死に定められたこの哀れな体よりも、彼らの救いをはるかに重大視する。」彼の祭服は1枚ずつはずされていった。そして司教たちは、儀式におけるそれぞれの役を果たしながら、彼をのろった。GC 1640.5

    ついに、「彼らは、恐ろしい悪鬼の絵が描かれ、前方によく目立つように『大異端者』という字が書かれたピラミッド型の紙の冠を、彼にかぶせた。『主イエスよ、わたしは、心から喜んで、あなたのために恥辱の冠をかぶります。あなたはわたしのためにいばらの冠をかぶられました』とフスは言った。」GC 1640.6

    彼にこのような装いをさせた後、「司教たちは、『今、われわれは、なんじの魂を悪魔にわたす』と言った。ヨハン・フスは、天を仰いで、『おお、主イエスよ、わたしは、わたしの魂をみ手にゆだねます。あなたはわたしを贖ってくださったからです』と言った。」13GC 1640.7

    こうして彼は、俗権の手に渡され、刑場へと引かれていった。彼の後には、数百名の軍人たち、美衣をまとった司祭や司教たち、コンスタンツの住民などの大行列が続いた。彼が火刑柱に縛られ、火をつける準備が整った時に、殉教者は、もう1度、誤りを捨 てて死を免れるよう勧告された。しかしフスは言った。「いったいどんな誤りを取り消せと言うのか。わたしは、何も悪いことはしていない。わたしが書き説教したことのすべては、人々を罪と滅びから救うためのものだったことは、神があかしをしてくださる。したがって、わたしが書き説教した真理をわたしの血をもって確証することは、わたしの最も喜びとするところである。」14彼の周りに火が点じられた時、彼は、「ダビデの子、イエスよ、わたしをあわれんでください」と歌い出した。そしてそれは、彼の声が永久に沈黙するまで続いた。GC 1640.8

    彼の敵たちでさえ、彼の英雄的な態度に強く心を打たれた。ある熱心な法王教徒は、フスと、その後しばらくして死んだヒエロニムスとの殉教を描写して言った。「2人とも、最後の時が近づいた時、忠実に耐えぬいた。彼らは、婚宴に行くかのように火刑にのぞんだ。彼らは苦しみの声をあげなかった。炎が上った時に、彼らは讃美歌を歌い出した。激しい炎も彼らの歌を止めることができなかった。」15GC 1641.1

    フスの体が燃えつきた時、彼の灰は、その下の土とともに集められて、ライン川に投げ捨てられた。こうして、それは、大海へと運ばれていった。迫害者たちは彼が宣べ伝えた真理を根絶したものと考えたが、そうではなかった。GC 1641.2

    その日大海に運び去られた灰が、地のすべての国々にまかれた種のようになること、また、まだ未知の国々において、それは多くの実を結び、真理のあかしを立てるようになることに、彼らは考え及ばなかった。コンスタンツの会議場で叫ばれた声は、その後の各時代を通じて鳴りひびく反響を引き起こした。フスはもはやいなかった。しかし、彼がそのために死んだ真理は、決して滅び去るものではなかった。彼の信仰と忠誠の模範は、拷問や死に面しても、真理のために堅く立つようにと、多くの人々を励ますのであった。彼の処刑は、ローマの不実な残酷さを全世界に示した。真理の敵たちは、それとは知らずに、彼らが撲滅しようとしていたその運動を、推し進めていたのであった。GC 1641.3

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