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各時代の大争闘 - Contents
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    広範な支援とルターの忠誠

    ルターに危害を加えようとする陰謀のうわさが広く伝わり、全市は大騒ぎになった。改革者ルターは、 多くの友人を持っていた。彼らは、ローマの腐敗をあばくすべての者に対するローマの不実な残虐行為を知っていたので、彼を犠牲にしてはならないと決意した。数百の貴族が彼を保護することを契約した。ローマの支配権に屈したことを示す皇帝の布告に対して、公然と反対するものも少なくなかった。家々の門や公の場所に、ポスターがはられ、ルターを非難するものもあれば、支援するものもあった。その1つには次のような、賢者の意義深い言葉だけが書かれていた。「あなたの王はわらべであって、……あなたはわざわいだ」(伝道の書10:16)。GC 1669.7

    ルターの人気は、ドイツ全土において非常なものであったので、もし彼に対する不正が行われるならば、帝国の平和は破られ、王位さえ安定があやぶまれることを、皇帝も議会も共に痛感したのである。GC 1670.1

    ザクセンのフリードリヒは、改革者に対する本心を注意深く表に出さず、沈黙を守っていた。しかし同時に、ルターを厳重に保護し、彼のすべての行動と彼の敵のあらゆる動きを見守っていた。しかし、ルターに対する同情を隠そうとしないものも多かった。ルターは、諸侯、伯爵、男爵、その他、一般と聖職両方面の高貴な人々の訪問を受けた。「ルター博士の小さい部屋は、訪問してきた人々をみな入れることができなかった」とシュパラティンは書いている。30人々は彼を、まるで超人であるかのようにながめた。彼の教義を信じなかった人々でさえ、自分の良心にそむくよりは死をさえいとわぬ彼の高潔さに対して、賛嘆せずにはおれなかった。GC 1670.2

    ローマとの妥協にルターを同意させようとするけんめいの努力がなされた。貴族や諸侯たちは、もし彼が自説に固執して、教会と議会の決定に背くならば、彼はすぐに帝国外に追放され、なんの防御もなくなると説明した。この訴えに対して、ルターは次のように答えた。「キリストの福音を伝えると必ず攻撃を受けます。……しかしそうだからといって恐怖や不安のために主から離れ、唯一の真理である神の言葉から離れてよいでしょうか。いいえ、わたしはむしろ、わたしの体、わたしの血、わたしの生命をささげたいのです。」31GC 1670.3

    彼は、ふたたび、皇帝の意見に従うように勧められた。そうすれば彼は、何も恐れるものがなくなる。彼は、それに答えて言った。「わたしは、皇帝、諸侯、また、どんなに身分の低いキリスト者であっても、わたしの著書を吟味し、判断することに心から同意する。この場合、唯一の条件は、彼らが神の言葉を標準にすることである。人間は服従することのほかは何もできない。わたしの良心に背くことを提案しないでほしい。わたしの良心は聖書に縛られつながれている。」32GC 1670.4

    また、他の訴えに対して彼は、「わたしは、自分の通行券を放棄することに同意する。わたしは、自分の身と生命とを皇帝の手に渡す。しかし、神の言葉は、決して渡さない」と言った。33彼は、自分は喜んで議会の決定に服すといったが、その場合の唯一の条件は、議会が聖書に基づいて決定するということであった。「神の言葉と信仰に関して、法王には百万の会議の支持があるにせよ、各キリスト者は法王に劣らずりっぱな裁判官である」とつけ加えた。34敵も味方も共に、これ以上妥協を勧めてもむだなことを知った。GC 1670.5

    もしもルターが1つの点でも妥協したならば、サタンとその軍勢は勝利をおさめたことであろう。しかし、彼がゆるがず堅く立ったことが、教会解放の道を開き、新しい、そしてよりよい時代の開始となった。信仰問題について自ら思考し行動したこの一人物の影響は、教会と世界に及び、その時代だけにとどまらずその後の各時代にまで及んだ。彼の確固不動の忠誠は、時の終わりに至るまで、同様の経験をたどるすべての者を励ますのである。神の力と威光とが、人間の会議と、サタンの大きな力とを、超越したのであった。GC 1670.6

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