黙示録14章において、第一天使に続いて、第二天使が、「倒れた、大いなるバビロンは倒れた。その不品行に対する激しい怒りのぶどう酒を、あらゆる国民に飲ませた者」と宣言している(黙示録14章8節)。「バビロン」という言葉は、「バベル」からきたもので、混乱を意味している。この言葉は、聖書では、種々の形をとった偽りの、あるいは背教的な宗教を指すのに用いられている。黙示録17章には、バビロンは女であるといわれている。女は、聖書では教会の象徴として用いられている。純潔な女は、純潔な教会であり、汚れた女は、背教した教会をあらわしている。 GCJap 436.3
聖書では、キリストとキリストの教会との間の神聖で永続的な関係を、結婚の契りであらわしている。主は、厳粛な契約によって、ご自分の民をご自分に結びつけられ、ご自分が彼らの神になることを約束された。 GCJap 437.1
そして彼らは、自分たちが神のものとなり、神だけのものになることを誓ったのである。神はこう言われる。「わたしは永遠にあなたとちぎりを結ぶ。すなわち正義と、公平と、いつくしみと、あわれみとをもってちぎりを結ぶ」(ホセア書2章19節)。そしてまた、「わたしはあなたがたの夫だからである」と言っておられる(エレミヤ書3章14節)。パウロも新約聖書において、同じ象徴を用いて、「あなたがたを、きよいおとめとして、ただひとりの男子キリストにささげるために、婚約させたのである」と言っている(コリント第二・11章2節)。 GCJap 437.2
教会がキリストに不忠実であって、キリストに対する信頼と愛情を失い、世俗の事物に対する愛を心に抱くことは、結婚の誓いを破ることにたとえられている。主を離れたイスラエルの罪が、この象徴によって語られている。そして彼らが軽んじた、神の驚くべき愛が、次のように感動的に描かれている。 GCJap 437.3
「わたしは……あなたに誓い、あなたと契約を結んだ。そしてあなたはわたしのものとなったと、主なる神は言われる」「あなたは非常に美しくなって王の地位に進み、あなたの美しさのために、あなたの名声は国々に広まった。これはわたしが、あなたに施した飾りによって全うされたからである。……ところが、あなたは自分の美しさをたのみ、自分の名声によって姦淫を行」った。「『イスラエルの家よ、背信の妻が夫のもとを去るように、たしかに、あなたがたはわたしにそむいた』と主は言われる」「自分の夫に替えて他人と通じる姦婦よ」(エゼキエル書16章8、13~15、32節、エレミヤ書3章20節)。 GCJap 437.4
新約聖書にも、神の恵みより世俗の交わりを求める自称キリスト者たちに、これと同様の言葉が語られている。使徒ヤコブは次のように言っている。「不貞のやからよ。世を友とするのは、神への敵対であることを、知らないか。おおよそ世の友となろうと思う者は、自らを神の敵とするのである」(ヤコブ4章4節)。 GCJap 438.1
黙示録17章の女(バビロン)は、次のように描写されている。「この女は紫と赤の衣をまとい、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものと……汚れとで満ちている金の杯を手に持ち、その額には、一つの名がしるされていた。それは奥義であって、『大いなるバビロン、淫婦どもの母』というのであった」 GCJap 438.2
「わたしは、この女が聖徒の血とイエスの証人の血に酔いしれているのを見た」と預言者は言っている。バビロンは、さらに、「地の王たちを支配する大いなる都のことである」と言われている(黙示録17章4~6、18節)。幾世紀にもわたって、キリスト教国の君主たちの上に独裁的支配を維持した権力は、ローマである。紫と赤、金と宝石と真珠は、華麗な王権にまさる豪華さを誇ったローマ法王権を鮮やかに描写している。また、キリストに従う者を残酷に迫害したこの教会ほど、「イエスの証人の血に酔いしれている」ということが当てはまる権力はほかにない。またバビロンは、「地の王たち」と非合法的関係を結んだと非難されている。ユダヤの教会が淫婦になったのは、主を離れ、異邦人と同盟を結んだためであったが、ローマも同様に、俗権の支持を求めて堕落し、同様の非難を受けている。 GCJap 438.3