ヘブル人がカナンに定住してから、幕屋はソロモンの神殿に代わり、規模は大きく、建築も永久的なものとなったけれども、同様の比率で造られ、同じような器具が備えつけられていた。こうして、聖所は、ダニエルの時代に荒廃に帰した時を別として、紀元七〇年にエルサレムがローマに滅ぼされるまで存在していた。 GCJap 473.1
これが地上に存在した唯一の聖所で、聖書が記録しているものである。パウロはこれを、初めの契約の聖所と言った。しかし、新しい契約に、聖所はないのであろうか。 GCJap 473.2
真理の探究者たちは、再びヘブル人への手紙に戻って、第二の、すなわち新しい契約の聖所の存在が、すでに引用した「初めの契約にも、礼拝についてのさまざまな規定と、地上の聖所とがあった」というパウロの言葉に暗示されていることを発見した。 GCJap 473.3
そして、「も」という言葉が用いられていることは、パウロが前にこの聖所について述べたということを暗示している。彼らは、その前の章に戻って、次のところを読んだ。「以上述べたことの要点は、このような大祭司がわたしたちのためにおられ、天にあって大能者の御座の右に座し、人間によらず主によって設けられた真の幕屋なる聖所で仕えておられる、ということである」(ヘブル8章1、2節)。 GCJap 473.4
ここに、新しい契約の聖所が明らかにされている。初めの契約の聖所は、人によって張られ、モーセによって建てられたが、これは、人間によらず主によって張られている。初めの聖所では、地上の祭司たちが務めを行ったが、こちらの聖所では、われわれの大祭司、キリストが、神の右で仕えておられる。一方の聖所は地上にあったが、もう一方は天にあるのである。 GCJap 474.1
さらに、モーセが建てた幕屋は、ひな型に従って造られた。主は、次のように指示された。「すべてあなたに示す幕屋の型および、そのもろもろの器の型に従って、これを造らなければならない」。また、次の命令が与えられた。「そしてあなたが山で示された型に従い、注意してこれを造らなければならない」(出エジプト記25章9、40節)。パウロは、最初の幕屋は、「その当時のための象徴であり、そこで供え物やいけにえがささげられた」(英語訳)と言っている。続いて彼は、その聖所は「天にあるもののひな型」であり、律法に従って供え物をささげる祭司たちは、「天にある聖所のひな型と影とに仕えている者」であり、「キリストは、ほんとうのものの模型にすぎない、手で造った聖所にはいらないで、上なる天にはいり、今やわたしたちのために神のみまえに出て下さったのである」と言っている(ヘブル9章9、23節、8章5節、9章24節)。 GCJap 474.2