ところがこの階層の人たちは、急速に広がっている堕落は、主としていわゆる「キリスト教的安息日」を汚すことにその原因があるのだから、日曜日遵守を強制することが社会道徳を大いに向上させるであろうと主張する。この主張が特に強調されるのは、真の安息日の教理が最も広く宣べ伝えられてきたアメリカにおいてである。アメリカにおいては、最も目立った重要な道徳的改革の一つである禁酒禁煙運動が、しばしば日曜日遵守運動と結びつけられる。日曜日遵守運動の主張者たちは、自分たちは社会の最高の利益を促進するために骨折っていると称し、彼らとの協力を拒む者は、禁酒禁煙運動と改革の敵であると非難される。しかし、誤謬を助長する運動が、それ自体は善である働きと結合しているからといって、その誤謬を支持してよいということにはならない。われわれは、健全な食物に混ぜることによって毒を隠すことはできても、それが毒であることには変わりないのである。それどころか、毒と気づかれないために、それだけいっそう危険なものとなる。 GCJap 681.1
虚偽を、それをもっともらしく見えるようにさせるに足るだけの真理と結合させることが、サタンの策略の一つである。日曜日遵守運動の指導者たちは、人々が必要としている改革を提唱し、聖書と調和している諸原則を提唱するかもしれない。しかし、その中に、神の律法に矛盾する要求が含まれているかぎり、主のしもべたちは彼らと手をつなぐことはできない。彼らが神の戒めを捨てて人間の戒めを置いたことは、どんな理由によっても正当化できないのである。 GCJap 681.2
サタンは、霊魂不滅と日曜日の神聖化という二つの重大な誤りを通して、人々を彼の欺瞞のもとに引き入れる。前者は心霊術の基礎を置き、後者はローマとの親交のきずなを作り出す。合衆国の新教徒は、率先して、心霊術と手を結ぶために淵を越えて手を差しのべる。彼らはまた、ローマの権力と握手するために深淵を越えて手を差し出す。この三重の結合による勢力下に、アメリカはローマの例にならって良心の権利を踏みにじるのである。 GCJap 682.1
心霊術が現代の名ばかりのキリスト教をますますそっくりまねるようになるにつれて、それは人々をだまし、わなにかけるのに、いっそう大きな力を持つようになる。サタン自身も、近代的な形態に応じて姿を変える。彼は光の天使を装ってあらわれる。心霊術を通して奇跡が行われ、病人はいやされ、否定することのできない多くの不思議なことが行われる。そして悪霊が聖書に対する信仰を告白し、教会の諸制度に敬意をあらわすので、そうした霊の働きは神の力のあらわれとして受け入れられる。 GCJap 682.2
現在は自称キリスト者と不敬虔な人たちとの間の区別がほとんどわからない。教会員は世の人々が愛するものを愛し、すぐに彼らと一緒になるので、サタンはこの人たちを一体として結合させ、すべての人を心霊術の味方に引き入れることによって、自分の立場を強化しようと決意している。カトリック教徒は、奇跡を真の教会の一つの確証として誇っているので、不思議なことを行うこの力に容易にだまされる。また新教徒も、真理の盾を投げ捨ててしまったので、同じように惑わされるであろう。旧教徒、新教徒、それに世俗の人たちもみな同じように、力のない形だけの敬虔を受け入れるであろう。そして彼らはこの合同の中に、全世界を改心させるための一大運動と、長く待ち望んでいた福千年期の先触れを認めるのである。 GCJap 682.3