ウィクリフは、宗教改革者の中でも最も偉大な人物の一人であった。その該博な知識、明晰な思考、そして真理を堅く保持し、大胆に擁護した点において、彼の後にあらわれたもので彼に匹敵するものは、きわめてまれであった。彼の純潔な生涯、研究と活動における刻苦勉励、清廉潔白、そして奉仕におけるキリストのような愛と忠実さが、この最初の宗教改革者の特徴であった。しかも彼は、彼があらわれた当時の、知的暗黒と道徳的腐敗の時代において、そのように生きたのであった。 GCJap 108.2
ウィクリフの品性は、聖書が人を教え改変する力を持っている証拠である。聖書が、彼をこのような人物にしたのである。啓示された偉大な真理を把握しようとする努力は、すべての機能をはつらつとさせ活気づける。それは知性を広げ、知覚を鋭くし、判断力を円熟させる。聖書の研究は、他のどんな研究よりも、あらゆる思想と感情と抱負とを高尚にする。また、確固とした目的と忍耐、勇気を与えるとともに、品性を洗練し、魂を清める。畏敬の念をもって聖書を熱心に研究する時、学ぶ者の心は直接神の無限の心と接触することができ、どんな人間的哲学を修めても達することができないような高潔な原則を持つとともに、強く活発な知性を持った人々を世に提供することができる。「み言葉が開けると光を放って……知恵を与えます」と詩篇記者は言っている(詩篇119篇130節)。 GCJap 109.1