第50章 学者エズラに導かれた改革
- 序
- 第1章 ソロモン王の選択
- 第2章 エルサレム神殿の建設
- 第3章 繁栄の落とし穴
- 第4章 権力者が倒れるとき
- 第5章 ソロモン王の改心
- 第6章 王国の分裂
- 第7章 悲劇の王ヤラベアム
- 第8章 急速にひろがった背信
- 第9章 預言者エリヤの出現
- 第10章 罪を責める声
- 第11章 カルメル山の対決
- 第12章 砂漠へ逃れる預言者
- 第13章 失敗から立ちあがる
- 第14章 預言者エリヤの力
- 第15章 妥協するヨシャパテ王
- 第16章 アハブ家の没落
- 第17章 預言者エリシャの召し
- 第18章 悪水を良水にかえる
- 第19章 平和をつくり出す人
- 第20章 大国シリヤからの訪問者
- 第21章 預言者工リシャの貢献
- 第22章 アッスリヤの首都ニネベ
- 第23章 大国アッスリヤの支配
- 第24章 破滅を定めるもの
- 第25章 預言者イザヤの召し
- 第26章 「あなたがたの神を見よ」
- 第27章 大国に援助を求めたアハズ王
- 第28章 熱心な改革者ヒゼキヤ王
- 第29章 虚栄のつけ
- 第30章 大国アッスリヤからの解放
- 第31章 諸国民の希望
- 第32章 暗黒時代をもたらしたマナセ王と改革の星ヨシヤ王
- 第33章 律法の書の発見
- 第34章 立ちあがった預言者エレミヤ
- 第35章 破滅が近い
- 第36章 ユダ王国の最後の王
- 第37章 バビロン捕囚
- 第38章 暗黒を貫く光
- 第39章 バビロン王宮の4青年
- 第40章 ネブカデネザル王の夢
- 第41章 火の燃える炉からの救い
- 第42章 真の偉大さとは何か
- 第43章 目に見えない守護者
- 第44章主義に固く立つ
- 第45章 バビロン捕囚から帰る
- 第46章敵対者に直面して
- 第47章大祭司ヨシュアと天使
- 第48章 権力をこえる力
- 第49章 王妃エステルの決心
- 第50章 学者エズラに導かれた改革
- 第51章 精神の大覚醒
- 第52章 総督ネヘミヤの活躍
- 第53章 市街の建てなおし
- 第54章 搾取に対する譴責
- 第55章 隣国の陰謀
- 第56章 律法の公布
- 第57章 改革が始まる
- 第58章 救い主を待望する人々
- 第59章 理想のイスラエル
- 第60章 栄光にみちた国が来る
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第50章 学者エズラに導かれた改革
ゼルバベルとヨシュアの指導の下に、最初の捕囚の一団が帰還してから約70年経過したときに、アルタクセルクセス・ロンギマノスがメド・ペルシャの王位についた。この王の名は一連の著しい摂理によって、聖書の歴史とかかわりがあるのである。エズラやネヘミヤが生存し活動したのは、彼の治世においてであった。紀元前457年に、エルサレム再建の第3回目で最後の布告を出したのはこの王である。その 治世にエズラを指導者とするユダヤ人の一団が帰還し、ネヘミヤとその仲間たちによってエルサレムの城壁が完成し、神殿の務めが再組織され、エズラとネヘミヤによって大宗教改革が行われたのである。その長い治世にわたって、彼はしばしば神の民に好意を示し、彼が信頼し愛していたエズラとネヘミヤというユダヤ人の友人は、神が特別な仕事のために起こして任命された人々であることを認めたのである。PK 611.6
バビロンに残っていたユダヤ人の中でのエズラの経験は非常に著しいものであったので、アルタクセルクセス王の好意的注目を浴びた。そしてエズラは、天の神の力と、ユダヤ人をエルサレムに回復することについての神の計画に関して、自由に王に話したのである。PK 612.1
エズラはアロンの家系の者であったので、祭司としての訓練を与えられていた。それに加えて、彼は魔術士や占星術士やメド・ペルシャ国内の賢者たちの書物に精通していた。しかし彼は、自分の霊的状態に満足していなかった。彼は神と完全に一致することを熱望したのである。彼は神のみこころを実行に移す知恵を熱望したのである。エズラは「心をこめて主の律法を調べ、これを行」おうとした(エズラ7:10)。そのために彼は、預言者と王の書物の中に記された、神の民の歴史を熱心に研究するようになった。彼は聖書の歴史的部分と詩的部分とを調べ、なぜ神は、エルサレムが破壊され、神の民が異教の地に連れ去られるのを許されたのかを知ろうとした。PK 612.2
エズラはアブラハムに約束が与えられた時以来の、イスラエルの経験を特別に考えた。彼はシナイ山において与えられた教えと、長い荒野の放浪期間を通じて与えられた教えとを研究した。神が民を扱われる方法についてますます研究を深め、シナイにおいて与えられた律法の神聖さを理解するにつれて、エズラの心は感動した。彼は新たに徹底的改心を経験して、聖なる歴史に精通しようと決心した。それは彼がこの知識を用いて、彼の民に祝福と光をもたらすためであった。PK 612.3
エズラは彼の前にあると信じた働きのために、心の準備をしようと努力した。彼は熱心に神を求め、イスラエルの賢明な教師になろうとした。彼が神の支配に心と意志を従わせることを学んだ時に、彼の生活に真の聖化の原則が生した。そしてこれは、後年彼の教えを請うた青年たちだけでなくて、彼に接したすべての人々に品性建設上の感化を及ぼしたのである。PK 612.4
神はイスラエルに幸福をもたらす器としてエズラを選び、捕囚期間を通じてその栄光が大いに影をひそめた祭司職に、栄誉を与えようとなさった。エズラは非常な知識を持った人となり、「モーセの律法に精通した学者」となった(エズラ7:6)。彼はこうした資格を持っていたので、メド・ペルシャ王国において著名になった。PK 612.5
エズラは神の代弁者となって、周りの人々に天を支配している原則を教えた。彼の残りの生涯は、メド・ペルシャの王宮の近くにあってもエルサレムにおいても、その主な働きは教師としての仕事であった。彼は自分が学んだ真理を他の人々に伝えた時に、その働きの能力が増大した。彼は敬神深い熱の人となった。彼は聖書の真理には、人々の日常生活を高貴にする力があることを世にあかしする証人となった。PK 612.6
聖書研究熱を復興しようとするエズラの努力は、聖書を保存し増加させようとする骨の折れる、彼の生涯の事業として永続的なものとなった。彼は集め得るすべての律法の書を集め、それらを写して配布したのである。こうして増加されて多くの人々の手に渡された純粋な言葉は、計り知れない価値のある知識を与えたのである。PK 612.7
エズラは神が、ご自分の民のために大いなる働きをして下さることを信じていたので、エルサレムに帰って神の言葉の研究熱を復興し、聖なる都の再建をしている兄弟たちを助けたいという願いを、アルタクセルクセスに告げたのである。エズラがイスラエルの神に完全に信頼して、神はその民を保護し養うことが十分おできになることを宣言した時に、王は深く心を動かされた。王はイスラエルの人々が、主に仕えるために帰還していることをよく理解した。さらに 王は、エズラの誠実さを非常に信頼していたので、彼に著しい好意を示し、彼の願いを許して神殿の務めのために、高価な贈り物を彼に与えたのである。王は彼をメド・ペルシャ王国の特使として、彼に広範囲にわたる権威を授けて、彼の心中の計画を達成させようとした。PK 612.8
70年の捕囚期間の終了後、第3回目のアルタクセルクセス・ロンギマノスのエルサレム復興と建設の布告は、天の神に関する表現があり、またエズラの業績を認め、神の残りの民に多額の補助金を与えている点において、大いに注目すべきものである。アルタクセルクセスはエズラを、「主の戒めの言葉、およびイスラエルに賜わった定めに通じた学者で、祭司」、「天の神の律法の学者」と言っている。王はその議官たちといっしょになって、「エルサレムにいますイスラエルの神」に真心からの捧げ物をした。そしてそれに加えて、多額の諸経費を支払うために、「それを王の倉から出して用いよ」と定めたのである(同7:11、12、15、20)。PK 613.1
アルタクセルクセスはエズラに言った。「あなたは、自分の手にあるあなたの神の律法に照して、ユダとエルサレムの事情を調べるために、王および7人の議官によってつかわされるのである」。王はさらに命を下した。「天の神の宮のために、天の神の命じるところは、すべて正しくこれを行え。そうしないと神の怒りが、王と王の子らの国に臨むであろう」(同7:14、23)。PK 613.2
アルタクセルクセスはイスラエルの人々の帰還を許した時に、祭司たちが昔ながらの慣習と特権を回復することを取りきめた。PK 613.3
王は命を下した。「われわれは、またあなたがたに告げる、『祭司、レビびと、歌うたう者、門衛、宮に仕えるしもべ、および神のこの宮の仕えびとたちには、みつぎ、租税、税金を課してはならぬ』」(同7:24)。王はまた、ユダヤの律法に従って人々を正しく治めるために、町の役人たちの任命についての取りきめを行った。「エズラよ、あなたはあなたの手にある神の知恵によって、つかさおよび裁判人を立て、川向こうの州のすべての民、すなわちあなたの神の律法を知っている者たちを、ことごとくさばかせよ。あなたがたはまたこれを知らない者を教えよ。あなたの神の律法および王の律法を守らない者を、きびしくその罪に定めて、あるいは死刑に、あるいは追放に、あるいは財産没収に、あるいは投獄に処せよ」(エズラ7:24~26)。PK 613.4
こうして、「その神の恵みの手が彼の上にあったから」、エズラはメド・ペルシャ王国のうちにいるイスラエルの民、およびその祭司、レビびとのうち、「すべてエルサレムへ行こうと望む者」のために、十分の準備をするように王を説得したのであった(同7:9、13)。こうして離散していた民は、ふたたび故郷の地に帰る機会が与えられた。そして、イスラエルの家に対する約束は、その地を所有することに関連していた。PK 613.5
この布告は、エズラといっしょに神の民に対するみこころを研究していた人々に、大きな喜びをもたらした。エズラは叫んだ。「われわれの先祖の神、主はほむべきかな。主はこのように、王の心に、エルサレムにある主の宮を飾る心を起させ、また王の前と、その議官の前と王の大臣の前で、わたしに恵みを得させられた」(同7:27、28)。PK 613.6
アルタクセルクセスのこの布告が発布されたことは、明らかに神の摂理であった。ある者はこれを認めて、喜んでこの絶好の機会を利用して帰還することにした。集合の場所が指定され定められた時に、エルサレムへ行くことを希望した人々が、長い旅に備えて集合した。「わたしは彼らをアハワに流れる川のほとりに集めて、そこに3日のあいだ露営した」とエズラは言っている(同8:15)。PK 613.7
エズラは大多数の者がエルサレムに帰還することを期待していたが、応答した者の数は意外に少なかった。家や土地を手に入れていた多くの者は、それを犠牲にすることを望まなかった。彼らは安楽と慰安を愛し、残留することに十分満足していた。こうした行動は、さもなければ信仰をもって前進した人々と運命を共にすることを選んだであろう、他の人々に対する妨害となったのである。PK 613.8
エズラは集まった一行の人々を見渡した時に、レビの子孫が1人もいなかったのを見て驚いた。神の聖なる務めのために聖別された部族の人々は、いったいどこにいたのであろうか。主につく者はだれかという召しに対して、レビ人は真っ先に応答するはずであった。彼らは捕囚の期間中、またその後も、多くの特権が与えられていた。彼らは捕囚の境涯にある兄弟たちの霊的必要に奉仕するために、完全な自由が与えられていた。会堂が建てられて、祭司はそこで神の礼拝と民の教育を行っていた。安息日の遵守と、ユダヤ人の信仰特有の聖なる儀式を、自由に行うことが許されていた。PK 614.1
しかし捕囚の終了後、年月が経過するにつれて状態は変わり、多くの新しい責任がイスラエルの指導者に負わせられた。エルサレムの神殿は再建され、献納された。そしてその務めを維持していくために、もっと多くの祭司が必要であった。神の人たちが人々の教師として働くことが、差し迫った必要であった。そのうえバビロンに残るユダヤ人は、彼らの宗教的自由が束縛される危険にあった。預言者ゼカリヤにより、またエステルとモルデカイの苦難の時代に、彼らが最近経験したことによって、メド・ペルシャ王国内のユダヤ人は彼らの国へ帰るように、明らかに警告が与えられたのである。彼らが異教の勢力のただ中に、これ以上住むことは危険であるという時が来たのである。こうした状況の変化を考慮して、バビロンにいる祭司たちは布告の発令の中に、エルサレム帰還への特別の召しを、速やかに認めるべきであった。PK 614.2
王と諸侯たちは、帰還の道を開くのに彼らのなすべき分以上のことをしたのである。彼らはあり余るほどの財産を準備したのであるが、人々はいったいどこにいたのであろうか。レビの子孫は兄弟たちといっしょに行く決心をして、他の人々にも彼らの模範に従うように促すべき時に当たって、何もしなかった。この不思議な無関心は、民のための神のみこころに対して、バビロンのイスラエル人がどんな態度をとったかを、悲しくもあらわしているのである。PK 614.3
エズラはもう1度レビ人に訴え、彼の一行に加わるように緊急招待を発したのである。急速な行動の大切なことを強調するために、彼は書類による訴えとともに、「首領たる人々」と「見識のある入々」を幾人かつかわした(エズラ7:28、8:16)。PK 614.4
エズラとともに旅行者たちが滞在しているうちに、これらの信任を受けた使者たちは、「われわれの神の宮のために、仕え人をわれわれに連れて来い」という訴えを携えて馳せ去った。この訴えは功を奏した。ためらっていた者たちが、ついに帰還の決心をしたのである。全部で約40人の祭司と、220人の宮に仕えるしもべが陣営に連れて来られたのである。エズラは賢明な牧者、善き教師、援助者としてこれらの人々を頼りにすることができたのである。PK 614.5
今やすべての者は出発の準備が整った。彼らは目前に、数か月にわたる旅行をひかえていた。彼らは妻子とその財産のほかに、神殿とその務めのために多額の財宝を携えていた。エズラは敵が途中で待ち伏せ、彼とその一行を襲って滅ぼそうとしていることをよく知っていた。しかし彼は、王に、兵卒たちの保護を求めなかった。「これは、われわれがさきに王に告げて、『われわれの神の手は、神を求めるすべての者の上にやさしく下り、その威力と怒りとはすべて神を捨てる者の上に下る』と言ったので、わたしは道中の敵に対して、われわれを守るべき歩兵と騎兵とを、王に頼むことを恥じたからである」と、彼は説明したのである(同8:22)。PK 614.6
エズラとその一行は、ここにおいて異邦人の前で神の名を賛美する機会を認めたのである。もしイスラエル人自身がここで、彼らの指導者であられる神に絶対的信仰をあらわすならば、生ける神の力に対する信仰が強められるのであった。そこで彼らは、神に全面的信頼をおくことにしたのである、彼らは兵卒たちの保護を求めなかった。彼らはただ神にのみ属する栄光を、人間の力に帰する理由を異邦人に与えないのであった。彼らは自分たちが神の民として、真心から神により頼んでいることに関して、異邦の友人たちの心に一点の疑惑も起こしてはならないので あった。力は、富によらず偶像礼拝者の権力や勢力によらず神の恵みによって得られるのである。彼らに彼らの前にある神の律法を守り、それに従おうと努力することによってのみ、保護されるのであった。こうして彼らは、神の保護の手を受ける条件をよく知っていたので、エズラと忠実な一行が出発直前に行った献身の集会は、特別に厳粛なものであった。「そこでわたしは、かしこのアハワ川のほとりで断食を布告し、われわれの神の前で身をひくくし、われわれと、われわれの幼き者と、われわれのすべての貨財のために、正しい道を示されるように神に求めた」。「そこでわれわれは断食して、このことをわれわれの神に求めたところ、神はその願いを聞きいれられた」と、エズラはこの経験について言った(エズラ8:21、23)。PK 614.7
しかし神の祝福があるからといって、思慮分別と用心を必要としないわけではない。エズラは財宝を守るために特別の注意を払い、すでにその忠実さと忠誠さとが証明された、「おもだった祭司12人……を選び、金銀および器物、すなわち王と、その議官と、その諸侯およびすべて在留のイスラエルびとが、われわれの神の宮のためにささげた奉納物を量って彼らに渡した」(同8:24、25)。この人々は、委託された財宝を忠実な家令として注意深く守るように、厳粛な命を受けた。エズラは次のように言った。「あなたがたは主に聖別された者である。この器物も聖である。またこの金銀は、あなたがたの先祖の神、主にささげた真心よりの供え物である。あなたがたはエルサレムで、主の宮のへやの中で、祭司長、レビびとおよびイスラエルの氏族のかしらたちの前で、これを量るまで、見張り、かつ守りなさい」(同8:28、29)。PK 615.1
主の宝の運搬と安全のためにエズラが注意深く準備したことは、思慮深く研究するに価する教訓を教えている。その信頼性が証明されたものだけが選ばれた。そして彼らは、負わせられた責任について明白な指示を与えられた。エズラは、主の財産の保管者としての任に当たる忠実な役人を任命した時に、神の働きにおける秩序と組織の必要とその価値を認めた。PK 615.2
イスラエルの人々が川のほとりにとどまっていた数日の間に、長い旅行のためのすべての準備が整った。「われわれは正月の12日に、アハワ川を出立してエルサレムに向かったが、われわれの神の手は、われわれの上にあって、敵の手および道に待ち伏せする者の手から、われわれを救われた」とエズラは書いている(同8:31)。旅行は約4か月かかった。エズラに従った群衆は、女や子供を含めて全部で数千名に及んだので、どうしても早く進まなかった。しかし、すべての者が安全に守られた。彼らの敵は抑制されていたので、害を加えることができなかった。彼らの旅行は順調に進み、アルタクセルクセスの第7年の5月1日にエルサレムに到着した。PK 615.3